摂津市鳥飼で三代続く「渡邊ファーム」。なにわの伝統野菜・鳥飼なすを中心に、地元の飲食店へ野菜を卸している。長年、注文の受け方に頭を悩ませてきたという渡邊勝彦さんに、地域食材EC「セッツマルシェ」を導入してからの変化をうかがった。
導入前の課題 — 注文が「あちこち」に散らばっていた
去年までは、注文をLINEで受けたり、SMSで受けたり、電話で受けたり。お店ごとにやり方がバラバラだったんです。
そう振り返る渡邊さん。飲食店それぞれと個別につながっているぶん、注文の入り口がいくつもあった。
朝、畑に出ながらスマホを見て、「あの店はLINEに来てたな」「こっちはSMSだったか」と。数え間違いや返信のし忘れも起きる。誰にいくつ出したか、月末にまとめるのもひと苦労でした。
売り先が増えるほど、その「さばく」手間は増えていく。作ることより、注文を取りまとめることに気を取られる——本末転倒のような状態だったという。
みや小屋との出会い — 畑を手伝う中から生まれた
みや小屋との縁は、システムの商談ではなく、一枚の畑から始まった。
はじまりは、宮林さんが「農業体験をさせてほしい」とうちの畑を訪ねてきてくれたことでした。そのまま何度も足を運んでくれて、種まきから収穫、出荷まで一緒に汗をかいてくれるように。半分は修行のように、うちの野菜づくりを一から覚えていってくれたんです。
作る現場を肌で知るなかで、宮林さんは渡邊さんの受注の悩み——LINEやSMSにばらばらに届く注文——を間近で見ることになる。
一緒に畑仕事をしながら、「注文がこれだけあちこちに分かれていたら大変ですよね。いっそ、ECサイトを作ってみませんか」と声をかけてくれて。畑を分かってくれている人からの提案だったので、すっと腹落ちしました。
だからこそ、みや小屋が最初に取り組んだのも、ツールの説明ではなかった。すでに畑で見てきた渡邊さんの一日の動き方——どの時間に、どんな端末で、どうやって注文を受けているか——を一緒に整理し、「注文の入り口をひとつにまとめる」という方向を決めていった。
進め方
- 現状の棚卸し:LINE・SMS・電話に分かれていた受注の流れを書き出し、重複や抜け漏れが起きるポイントを可視化
- 入り口の一本化:飲食店が迷わず注文できるEC「セッツマルシェ」に受注を集約。商品・在庫・価格を渡邊さん自身が登録・更新できる形に
- 飲食店側の負担も設計:発注する飲食店にとっても「いつもの注文がすぐ出せる」よう、再注文・発注フローを整理
- 決済と締めの自動化:Stripe決済と月次のまとめに対応し、月末の集計作業を軽減
導入後の変化 — 「管理が楽になって、注文も増えた」
いちばん大きかったのは、注文がひとつの画面に集まったことだと渡邊さんは言う。
誰から、何が、いくつ来ているか。ECの画面を開けば全部そこにある。数え間違いがなくなって、月末の集計もあっという間。頭の中で管理しなくてよくなったのが、本当に楽です。
変化は、自分の手元だけにとどまらなかった。
飲食店さんからも「注文しやすくなった」と言ってもらえて。前は僕にメッセージを送って、返事を待って……という感じでしたが、今は好きな時間にECからサッと注文できる。頼むほうが楽になったから、結果として注文の回数が増えたんです。
管理の手間が減り、飲食店にとっての注文のハードルも下がった。その両方が噛み合って、受注数が伸び、売上の向上につながった。
正直、「デジタルにしたら注文が増える」なんて思っていませんでした。でも、頼みやすさって、こんなに大事なんですね。
生産者より
農家目線で、こちらのやり方に合わせて組み立ててくれたのが安心でした。「入れて終わり」じゃなく、使いながら一緒に直してくれる。そして飲食店さん等の購入者側のサポートまで気にかけてくれる。畑のことに集中できる時間が、確かに増えました。
これから — 「鳥飼なすを、買いたい人へ直接」
渡邊さんには、次に実現したいことがある。
「鳥飼なすはどこで買えるの?」と、個人のお客さんからよく聞かれるんです。飲食店向けに始めたけれど、家庭で食べたいという声がこんなにあるとは思わなかった。その声に応えたい。
セッツマルシェは今後、飲食店向け(B2B)に加えて、個人のお客さまが直接生産者から買えるかたちへと広げていく。地元で愛されてきた鳥飼なすを、食べたい人のもとへ直接届ける——渡邊さんの畑から始まった仕組みを、地域全体の販路へと育てていく。
セッツマルシェは、地元の小規模農家・生産者と、飲食店・ご家庭をつなぐ地域食材ECです。「作る人」が売ることに時間を取られず、「買う人」が地元の食材に出会いやすくなる仕組みを、みや小屋が構築・運用しています。
あなたの現場にも、同じようなお困りごとはありませんか。